05 アメリカのミクロ経済学にて満点!神原崇生さん

グローバルビジネス学科 | 名古屋外国語大学 現代国際学部グローバルビジネス学科|グローバル共生の世界へ

What is this article about?

 本学のTESS留学(留学全額支援制度)を利用してアメリカペンシルベニア州立大学インディアナ校に語学学校+学部授業のコースで約7か月留学した卒業生の神原崇生さんに留学体験談をインタビューしました。これから留学に行く方、留学に興味を持っている方にかなり参考になる内容となっていますので、是非最後までチェックしてください!

Q 神原君は留学先で英語とともに経済学の専門科目をいくつか履修しました。そのなかで「Principles of microeconomics(ミクロ経済学)」を受講し、留学生がほとんどいない80名のクラスのなかで、ただ一人満点の成績で単位を取得しました。そのときの感想はどうでしたか。

 

A 学習の成果が結果として表れうれしかったです。今回、留学先でPrinciples of microeconomicsを受講した理由が、1年生の時に名外大で受講した「ミクロ経済学」の成績が満足できるものではなく、基礎知識が定着していないと感じたことです。そのため、今回の留学において世界共通となっているミクロ経済学をもう一度しっかり学び直したいと思い受講しました。良好な成績で単位を取得できたことはうれしかったのですが、それ以上に1年生の時につまずいた分野において基礎を固められたことが、受講して良かったと思えることでした。

Tips:「ミクロ経済学」とは?

 アメリカで誕生・発展し、今や世界中の経済学部で学ぶ科目。人々が望むものは無限にありますが、手に入れられるお金など資源は限られています。こうした有限な資源をどのように使えば社会全体が幸せになれるかについて、特に市場と価格に着目して考える学問です。

Q テストで出題された問題は、世界共通になっている「ミクロ経済学」の基礎ですね。神原君が受講したクラスの授業では、消費者選択、完全競争と独占、労働市場と金融市場などミクロ経済学の主要なテーマを取り上げるなかで、先生は現実の経済とこれらの関連についてどのように説明されていたでしょうか。 

 

A はい、最初の授業時に現実の経済とミクロ経済学との関連について説明がありました。「消費者と生産者両者の幸せをできる限り大きくするためにどのように行動するか」という問題に焦点を当てたのがミクロ経済学であり、経済学自体も「世界中の人々の幸せを可能な限り大きくするために、利用できる資源(労働・資本・エネルギーなど)をいかに効率よく配分するか」を考える学問であるとおっしゃっていました。しかし、現実の経済活動の中では、学問的に望ましい状況が実現している場合はほとんどなく、何かしらの問題が起きています。そのような状況下で、まずは現実の状況と比較対象になる望ましい状況がどのようなものかを理論的に理解することで、問題の原因や対策を考えることができます。経済学自体が答えを出してくれるわけではありませんが、存在する複数の選択肢を照らし出してくれるため、理想の経済活動を目指す際に重要となる指針になるものであると説明を受けました。

グローバルビジネス学科 | 名古屋外国語大学 現代国際学部グローバルビジネス学科|グローバル共生の世界へ

Q 神原君が実際に受けたテストの問題(以下参照)を見るとわかるように、ミクロ経済学では数学が使われます。グローバルビジネス学科の学生さんだけでなく、名外大の学生さんは数学嫌いが多いし、「ミクロ経済学」が一般的に経済学部の学生にとってもあまり好まれないわけですが、神原君は高校時代から数学との相性はよかったですか。

 

A そうでもありません。私は完全な文系学生で理系の科目は好きではありませんでした。このミクロ経済学で使われているのは主に微積分で、中2-高2年程度の数学です。数学が得意でなくても、学習を続ければわかるようになります。そしてアメリカ人の学生にとっても数学は苦手の人が多いので、先生はわかりやすく説明してくれるし、質問にもていねいに答えます。

 

グローバルビジネス学科 | 名古屋外国語大学 現代国際学部グローバルビジネス学科|グローバル共生の世界へ

Q 何といっても80人中トップで、毎回満点の成績だったのはすごいと思います。担当の先生から何かコメントがありましたか。 

 

A 「留学生が学部授業で高得点を獲得するのは難しいことだけど、毎回欠かさず予習・復習をしていた君なら納得できる。最初の授業で、講義を録音したいとお願いされた時からすごく真面目で熱心な生徒だと思っていたよ」というコメントをいただきました。

Q おそらく予習・復習の成果だったと思いますが、神原君は授業外の予習・復習のとき日本語で書かれた参考書を利用しましたか。それとも、授業で使用されたテキストだけでよかったですか。

 

A 日本語で書かれた参考書は使用しなかったのですが、学んだ経済用語の意味を正しく理解するためにネットを活用しました。

授業で使用したテキストの中には、全く聞いたことがない経済語句も多くあり、覚えるだけでなく理解することが非常に大変でした。そのため、留学で専門分野を受講する際は名外大の授業で使用したテキスト、もしくは日本語で書かれた参考書を個人的に購入し、留学に持っていく事をおすすめします。

Q 担当の先生に積極的に質問したとのことですが、そのとき、先生の説明のしかたはどうでしたか。また、気後れせずに、質問できましたか。

 

A 担当の先生はとてもフレンドリーな方で質問をするととても丁寧に説明してくださいました。本授業に限ったことではないのですが、私が受講した専門の先生は全員、私が質問した際は日本企業を例に挙げながら説明してくださいました。受講当初は私の知識不足なこともあり、米国企業を例に説明していただいたにも関わらずスムーズに理解することができませんでした。その際も、嫌な顔をすることなく私が知っている企業を例に、丁寧に説明してくださいました。最初は質問する際、とても緊張したのですが、分からないところはそのままにしておきたくなかったので授業後に質問し、その日のうちに理解することを心掛けました。

グローバルビジネス学科 | 名古屋外国語大学 現代国際学部グローバルビジネス学科|グローバル共生の世界へ

ゼミ教員のコメント

卒業を前にした2月末に神原君と雑談しているときに、私が「大学生活で一番うれしかったことは何ですか」と聞いたところ、このエピソードを話してくれました。それを聞いて、「これはすごい」と思いました。普通留学といえば、語学研修で良とするのが一般的ですが、あえて専門科目にチャレンジして、しかも好成績を収めるとはやはりすごい。もっと早く話してくれれば、と言ってしまいました。ここでは書かれていませんが、欧米の大学では、科目のテストの成績を学生番号別に掲示することは日本の大学と違って普通のようです。私の40年余り前のパリ大学の大学院留学の経験を思い出しても、やはり科目ごとに期末の個人成績が廊下に貼りだされていたのを思い起こします。その当時の私は、かろうじて合格点でしたが、それでもうれしかった。

自分の努力が報われることはうれしいし、自信になります。今回の学部留学の経験を生かして、将来勤務先の企業からの海外派遣などを通じて、再びUSAの大学で今度はぜひMBAに挑戦することを期待しています。そしてその経験をまた名外大の学科の後輩に伝えてほしいものです。(2023.3.10)

 

参考資料―「ミクロ経済学」(ペンシルベニア州立大学経済学部)試験の一部

神原君が現地で満点をとったミクロ経済学のテストはこちらからダウンロードできます。気になる方は是非チェックしてくださいね!